今回は『夏の葬列』という物語文の授業の流れについてまとめていきます。
この記事では、「教科書本文は読んだけど、どう授業すれば良いかわからない」という若手の先生向けに、単元と授業の流れがわかるようになっています。
単元構成
- 本文を読み、感想メモを書く。(1時間)
- 学習課題の担当を決め、各自、担当の課題を解く。(2時間)
(「手掛かりとなる表現」と「表現からわかること」を個人シートにまとめる) - 座談会形式で課題ごとに話し合いを行い、課題を解決する。(4~5時間)
- まとめ、振り返りを行い、各自の課題に対する答えを出す。(1時間)
では、実際の授業の流れをまとめていきます。(※文末表現は文字数削減のため)
《単元1時間目》「本文を読み、感想メモを書く」
今日から新しい単元『夏の葬列』に入るけど、「葬列」という言葉からどんなイメージがわく?
お葬式の列っていうことですか?
そうだね。この物語はまさに「夏のお葬式」が話の中心になるので、そこを意識しながら、まずは一度教科書を読んでみよう。
本文を読んだら、感想メモに読んで感じたことを書こう。
生徒からの感想メモを回収し、教師側で5つ程度に学習課題を分けます。
以前私が授業で提示した5つの課題が↓です。
- 過去の「彼」がしたことは、罪に値するのか?
- 「彼」=「ぼく」=「おれ」はどのような人物か?
- 作品の表現の仕方(描写や構成など)には、どのような特徴があり、それらには、どのような効果や作者の意図が読み取れるか?
- 「彼」の最も大きな心の転換点はどこか?
- この作品が伝えているメッセージは、どのようなことか?
生徒が書いた感想メモは、さっと目を通しておきます。
(単元の2時間目には疑問の提示をしたいので、細かく読むのは後で…)
《単元2時間目》「学習課題の担当を決め、各自、担当の課題を解く」
みんなの感想・疑問をまとめると、大きく5つの課題に分けられたよ。
各自どの課題を考えてみたいか、6人班で課題の担当を決めよう。
6人班で5つの課題だと、残りの人はどうすればいいですか?
残った人は5つの課題のうちどれを選んでもいいよ。
6人班で1人1課題分担します。余りの生徒はどの課題でも可とします。
これで各課題6人+αの人数になります。
各班で担当する課題が決まったら、それぞれ各自で担当の課題を解いていくよ。
個人作業シートに「手掛かりとなる表現」と「表現からわかること」をまとめてね。
何から書けばいいんですか?
課題に関連しそうな「手掛かりとなる表現」を探してどんどん抜き出そう。
まずは個人作業で、本文から課題解決に使える表現を探してメモしていきます。
その後、「表現からわかること」を考えて短くまとめ、最終的に課題に対する自分の考えをまとめておきます。
(個人準備シートが完成しないと座談会本番に進めないので、机間巡視しながら適宜声掛けをします)
《単元3時間目》「課題毎に座談会形式で話し合いを行い、課題を解決する」
今日から課題についての座談会をやっていくよ。
課題1の担当の人たちは、机といすを持って黒板の前に来てね。
フロアは、座談会メモに話し合われていることをメモして、最終的に自分の考えを書いてね。
机の配置は、先生を中心にして左右に生徒が座る、ディベートの形で机をセットします。
黒板にその日の課題を書いておき、フロア(残りの生徒)がメモを取れるように準備しておきます。
それでは、課題1について座談会を始めるよ。
順番に、自分の考えを根拠を添えて話していってね。
課題1に対する私の考えは、~~です。
根拠は、教科書p○○の○○行目にある~~という言葉で…
ありがとう。では次の人どうぞ。
課題1に対する私の考えは、==です。
根拠は、教科書p□□の□□行目にある==という言葉で…
~~という考えについて、お互いどう思う?
フロアからも質問や意見を言ってもらうね。
課題を担当する生徒(パネリスト)からそれぞれ考えを話してもらったら、↓
- 課題を担当する生徒の考えについて、お互い考えをどう思うか司会(教師)がつなぐ
- 聞いているフロアの生徒にも質問や意見を求める
- 司会(教師)からも質問・問題を提起する
などを行い、授業時間の最後に、話し合いを踏まえての自分の考えを座談会メモに書きます。
《単元4時間目》「まとめ、振り返りを行い、各自の課題に対する答えを出す」
これで5つの課題それぞれの座談会が終了したね。
最後に、各課題についての自分の考えをまとめよう。
自分が担当した課題はどうすればいいですか?
自分が担当した課題は、座談会をとおして考えが変わったかどうか、変わったのであればどこがどう変わったのかを書いておこう。
まとめの時間が取れたら、
- 個人準備シートの振り返りと、自分の考えをまとめる
- 担当以外の課題について、自分の考えを座談会メモにまとめる
の2点を生徒に行ってもらいます。
最終的に「個人準備シート」と「座談会メモ」をセットで提出してもらって単元終了になります。
以上で『夏の葬列』授業実践でした。
若手の先生方の参考になれば幸いです。
これからも健康第一でいきましょう!
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